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スクリーン印刷コラム

スクリーン印刷コラム

スクリーン印刷コラム(70)

~どのスキージを選択したらいいか(インクの溶剤から)~


 スキージに関する問い合わせでよくある項目の一つに、溶剤に関する事柄があります。
例えば「インクの希釈剤に使用している○○という溶剤に使用できるスキージは何ですか?」、「スキージを洗浄するのに適切な洗浄剤は何ですか?」、「今使用しているスキージがすぐに膨潤してしまうのですが、他に良いスキージはありますか?」などです。

 スキージの耐溶剤性を説明するためには、インクの溶剤のいろいろな性質をまず確認する必要があります。
溶剤は色や臭いの違いはありますが、形態としては液体です。その中で、スキージの耐溶剤性に大きく影響するのは、溶剤の「極性」です。この「極性」とはどの様なことでしょうか。

 「極性」とは分子内の電気的な偏りのことです。インクに使用している溶剤で電気的偏りが大きい溶剤を「極性溶剤」といい、逆に電気的偏りの小さい溶剤を「非極性溶剤」といいます。
「極性溶剤」で代表的な物は「水」や「アルコール」です。また「非極性溶剤」の代表的な物は「トルエン」などシンナー系の溶剤です。

 ところで話は少し脱線しますが、仲が悪いことを「水と油の関係」と言います。お互い溶け合わない水と油を人間関係に見立てた言い方です。化学の世界では似た性質を持った物質はお互い混ざり合います。水と油の場合、極性溶剤である水は非極性溶剤である油とは電気的特性が違い過ぎるために混ざりません。(極性溶剤は水と混ざりやすいので、親水性溶剤と言われることもあります)
これは溶剤の様な液体間だけでなく、液体と固体の関係でも同じ様なことが起こります。樹脂と溶剤がどちらも同じ極性を持っているとお互い混ざり合おうとします。これが樹脂の膨潤になります。

 

 スキージの話に戻します。
一般的にスキージに使用されている素材は「エステル系ウレタンゴム」です。当社が販売している「イーファインスキージ」「ニュースーパーウレタンスキージ」の素材も「エステル系ウレタンゴム」です。ウレタンゴムは耐摩耗性に優れていることが特徴の合成ゴムですが、ウレタンゴムの化学結合の中心となっている「ウレタン結合」の部分が「極性」を持っています。
スクリーン印刷用のインクに使用されている溶剤の大部分が「非極性」のため、ウレタンゴムのような「極性」のある樹脂と混ざり合おうとしないので、ウレタンゴムは膨潤しません。したがって、スクリーン印刷ではウレタンゴムのスキージを使用すれば、殆どの場合問題は発生しません。
ところが一部に「極性溶剤」を使用したインクが存在します。極性溶剤としては水以外にDMF、THF、γブチルラクトンなどがあります。極性のあるもの同士はよく溶け合うので、極性のあるウレタンゴムは激しく溶け合います。つまり膨潤します。
下記の写真は極性溶剤と非極性溶剤にスキージを24時間浸漬した時の写真です。このように極性溶媒ではスキージは激しく膨潤することがわかります。

写真1

 

 極性のある溶剤が含まれているインクを印刷する場合は、ウレタンゴムを使用することができません。
この場合はウレタンゴムとは逆の「非極性」のゴムをスキージとして使用する必要があります。つまり水と油の関係の様に極性溶剤には非極性ゴムを使用すれば、お互い混ざり合うことがないので膨潤しないということです。
 当社では、非極性であるプロピレン系ゴムを使用したPSスキージを販売しています。このスキージを使用することで極性溶媒を含んだインクでもスキージが膨潤することはありません。
下記の写真は、PSスキージを極性溶剤に24時間浸漬した時の写真です。プロピレン系ゴムを使用したPSスキージでは極性溶剤中でも膨潤はしません。

写真2

 

 それでは「非極性」のPSスキージを「非極性」の溶剤に浸漬したらどうなるでしょうか。
今度は非極性同士のためスキージは膨潤します。下記の写真は、PSスキージを非極性溶剤に24時間浸漬した時の写真です。今度はPSスキージが膨潤しているのがわかります。

写真3

 

まとめ:
 インクに使用されている溶剤には極性溶剤と非極性溶剤があります。
スクリーン印刷に使用されているインクの殆どが非極性なため、ウレタンゴムのスキージを使用すれば多くの場合問題はありません。
 ただし一部のインクでは極性溶剤を使用したものがあります。これにはウレタンゴムのスキージを使用できません。この場合はプロピレン系ゴムのPSスキージを使用すると良いでしょう。




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